プレミアムフライデーは製造業には浸透しない
プレミアムフライデーが先週始まりましたね。
「プレミアムフライデーだったので15時に仕事終えて◯◯で女子会してましたー♪」とか、
「〜前略〜早く仕事上がりましたー!」とか見ました。
ほんっっっっと少数ですが。
僕の勤めている会社では「プ」の字も出ておらずむしろそもそも残業代を少しでも稼ぐために残業している風潮がありました。
(ほんとは良くないんだけど)
この施策は一部の優良企業と一部の仕事の出来る高年収の社員の為のように思えます。
中小企業にお勤めの方にはそう簡単には浸透しそうにありません。
まぁまだ始まったばかりなのでこれからどうなるかわかりませんが。
また、サービス業の方は忙しくなるのでは?という懸念に隠れてはいますが、
日本の根幹を支える製造業の方にはそもそも生産量(仕事量)が時間管理されていますので到底プレミアムなフライデーを迎えられる気配はありません。
僕は製造業の企業に勤めておりますのでそちらの視点から働き方について考えてみたいと思います。
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製造業は「量産」と「試作開発」に分かれます。
「量産」は言葉通りですが、「量」を「産」まなければなりません。
自動車を例に挙げますが、
既に発売された自動車には幾多もの部品により組み上がっています。その幾多もの部品は1つずつ量産されます。
時間◯個、日◯個と月々の生産量(もしくは納入数)に応じた生産計画が立てられ、それを淡々と作っていかなければなりません。
その量産は大元のメーカーで全て生産されることはもありますが何せ部品点数が多い為、様々な量産メーカーに加工を委託します。(これを一次下請けとします)
しかし一次下請けにも捌き切れる部品数、生産量に限界があります。
そこで一次下請けは更に別の量産メーカーに加工を委託します。(二次下請けとします)
そうして二次下請けから一次下請けに、一次下請けから大元メーカーに、量産された部品が納入され、大元メーカー内の組み付けラインで組み付けられ、自動車が完成し、お客さんの元に納車されます。
すると先の話に戻りますが、生産計画が立てられ、週あたりの、1日あたりの生産量が決められます。
ざっくり10,000個の部品を生産しなければならないとしたら月20日・1日8時間稼働計算で1日500個生産せねばなりません。更に時間で割ると、62.5個(63個)です。
ただし機械の故障、不良、人員不足等何かしらのトラブルで納入できない事態に備え、いくらか多めに生産し、在庫保管しておく場合がほとんどです。
10,500個(500個の在庫)としたら1日525個、時間65.6個(66個)です。
( 10,000個の生産、納入に対し「500個」の余剰在庫を生産することが妥当かどうかは知りません。)
計算するのもめんどくさいですがこのように製造業は1時間あたりまで生産量を細かく決められます。人間とは違い機械の能力には限界がありますから「気合い」と「根性」でなんとかなるものではありません。それこそ淡々と動き淡々と生産します。
以上は「量産」の場合の話ですが、「試作開発」も同様です。
いや、むしろ試作開発の方が手番がえげつないです。
と言ったことから、日程管理された上での生産なのでプレミアムフライデーなど導入できる筈もなく、導入しようとすれば2時間分を別日に「残業」して補わなくてはいけません。
「プレミアムフライデーだから生産量減らしてもいい??」というお伺いを大元メーカーに言えたらいいんですけどね笑
まず無理です。
でも僕はこの「働き方をなんとかしよう」っていう意味ではこの施策は歓迎したいです。15時退社出来る出来ないは置いておいて。
この施策は地域振興券や給付金のように一時的なものではありません。
長く続いていくことにより特に中小企業の製造メーカーにも浸透していけば現場で頑張っている方にも恩恵が授かれるかもしれません。
大元メーカーが旗振ってくれるかもしれません。(望み薄いけど)
日本は製造業で成り立っていると言っても過言ではありませんので今後どのような着手がなされるのか見ものですね。
製造業の弊害でもありますがほんと日本は生産量=時間が当たり前になっていますから。